COVID-19の世界的な流行の中、お客様へ新しい形でL1工場受入試験を提供
セクター: データセンター
チャレンジ
各国の入国制限を受け、従来のレベル1のUPS(無停電電源装置)や配電盤の統合テストの実施が困難な状況に
ある日本のコロケーションデータセンターは施設改修のために受託製造会社(OEMメーカー)へUPSを3セット分注文していました。その場合、事前にUPSシステムの操作性や強靭性を確かめるため、L1工場受入試験(FAT)をOEM生産元の工場にて行うのが一般的です。
データセンター事業者はまた、日本国内より配電盤を調達していたため、受入試験ではUPSと合わせて同時に試験する必要がありましたが、OEMメーカーは海外に位置しているため同時試験が困難であるという大きな課題が生じました。
Covid-19の世界的な流行により各国で渡航制限が行われている今、データセンターの事業者は国外へ行くことが難しく、工場受入試験を直接見に行くことは困難でした。試験や動作検証は足踏み状態となり、計画通りにプロジェクトを進めることが厳しい状況になり、財政問題も生じました。
プロジェクト白書
ソリューション
L1工場受入試験における負荷テストのターンキーソリューションを人員の国内外移動を伴わずに実施
私たちは「安全性で一切妥協しない、且つ迅速なソリューションの提供」を目標として、解決策を早急に見出す必要がありました。
お客様は本来であれば日本から直接OEMメーカーに赴き試験を視察しますが、パンデミックの中では遠く離れた地へ行くことは非常に困難でした。そこで私たちは、日本の安全な場所でレベル1工場受入試験をターンキーで実施、提供するというソリューションを提案しました。
この提案はプロジェクトを継続することが出来るソリューションであるとして、OEMメーカーとデータセンターの両方が賛同しました。新たに入手したUPS、配電盤を含むL1負荷試験の所有権を単独で保有する事により、私たちは日本で安全に試験を実施することが可能となりました。
L1工場受入試験の内容には同期、負荷制御、負荷の精密なスケーリング、停電、起動などといった動作試験が行われます。当社の専門技術チームにより以下、試験プロセスに関するスケジュール作成・管理や現地での設計・開発までサポートいたします。
- UPSにおける115%、150%の過負荷試験
- スタンバイモード時のUPSの同期試験
- 負荷制御の精度確認の試験、また段階的な負荷増加に伴う周波数を確認する試験の実施
- 停電、起動、不均衡負荷試験、アラーム試験等、想定される全ての状況をシミュレーションする事により、現実的な環境下での機器の動作性を検証できる堅実な試験を実現。
さらに、発電機、負荷試験装置、変圧器をケーブルや燃料管理システムを含めて配電設備一式に統合し、導入しました。データセンター現地の送電系統に合わせて設計、シミュレーションされており、用意された発電機と変圧器は、6.6kvの電力を供給しUPSを充電、UPSは負荷試験装置へ415vの電力を供給しました。
結果
主要機器の販売ラインを確保し、プロジェクトタイムラインの遅延を回避
このようなプロジェクトでは、さまざまな利害関係者との相互依存関係があるため、一度プロジェクトに遅れが生じてしまうと全体のタイムラインが止まってしまい、財務的影響も大きなものとなる恐れがあります。
今回、コロケーションサービスを利用するお客様には一切の影響を及ぼすこと無く、改修作業を完了することができました。これにはUPSや配電盤の存在が必要不可欠でした。
OEMメーカーにとっては、顧客の現地立ち会いでの試験の視察無しで機器を販売することは困難であると考えられていましたが、無事当初の計画通りに販売し、収益目標を達成することができました。
今回のプロジェクトを通して、私たちはOEMメーカーとコロケーションデータセンターのお客様より高い評価をいただきました。Covid-19により働き方が変化していく中、Aggrekoは品質基準に妥協すること無く、敏捷性をもってお客様にソリューションをお届けします。